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アメリカ合衆国の国際刑事裁判所に対する一方的な強制措置に関するIADLの決議

 国際民主法律家協会(IADL)は、経済社会理事会およびユネスコと協議資格のあるNGOである。IADLは、国連憲章の目標を推進するために1946年に設立され、世界中におけるその加盟協会・団体とともに、国際法を擁護し、人権を推進し、国際の平和と安全に対する脅威と対峙してきた。創設以来、IADLのメンバーは、人種差別主義、植民地主義、また、発生地のいかんを問わず、経済的政治的な正義に反する事態に抗議してきた。

IADLは、国際刑事裁判所(ICC)およびその検事局スタッフを標的として、2020年6月にドナルド・トランプ合衆国大統領による(大統領)執行命令を通じて発出され、かつ、2020年9月にマイケル・ポンペイオ合衆国国務長官による命令によって実施された合衆国の一方的な強制的措置が国際司法・国際正義に対する侵害であるとする見地を再度確認するものである。

これらの一方的な強制的措置は、戦争犯罪および人道に対する犯罪について、合衆国およびイスラエルなどの同盟国の士官・官僚の不処罰を確保しようとして、とられたものである。

 このような措置に対して、アメリカ国内においても、今日まで、2件の法的な対抗手段がとられている。これらの措置は、法の実施および正義の追求を犯罪とするものである。国際刑事裁判所にアメリカの兵士または士官・官僚を有罪とするため用いられる作業または技術的な援助を行う者はだれでも、これらの措置によれば、30万ドル以下の罰金または20年以下の刑に処せられる可能性がある。これらの措置は、国際的な正義と説明責任の追及に従事するすべての弁護士、法律実務家および人権擁護活動家に対する直接の脅威である。

 IADLが2020年9月10日の声明においてすでに述べているように、アメリカ合衆国は、世界のほかの国が拘束される法に拘束されないと主張し、みずからの国際的な恒久的免責を求めてきた。アメリカは、アフガニスタン、イラクなどの世界の各地における戦争犯罪および人道に対する犯罪に対する自らの責任について国際的な責任をあからさまに免れようと努め、国際刑事裁判所への参加を拒むだけではなく、アフガニスタンにおける戦争における国際犯罪に対する国際刑事裁判所の捜査を試みること自体が「国家緊急事態」だとするトランプ合衆国大統領の声明が発出されている。

 もちろん、このような捜査は、アメリカのイラクへの違法な侵略と軍事占領を調べ、それが数年にわたる被収容者に対するひどい制裁や拷問となったことを調べ、数百万人のイラク人死亡者を直接的・間接的にもたらせた国土の荒廃を調べるものである。

 アメリカは、アフガニスタンを違法に占領し続けており、ほぼ20年に及ぶ軍事的攻撃を通じて、数千人のアフガニスタン人を殺傷し、ドローンによる攻撃を継続し、世界をめぐって裁判によらない殺害などの戦争犯罪や人道に対する犯罪を継続しながら、アフガニスタンの違法な占領を継続している。

 アメリカ政府が一方的に強制的措置をとったのは、アフガニスタンでの戦争犯罪および人道に対する犯罪についてアメリカの指導者を正式に捜査することを開始するよう検察官が請求して、これを国際刑事裁判所上訴部が承認したことに対して、直接応答したものである。

これらの一方的な強制措置は、パレスチナにおけるイスラエルの戦争犯罪について(国際刑事裁判所の)検察官が捜査を承認したことに対する応答としても行われているが、これについてアメリカおよびイスラエルは、継続するイスラエルによる戦争犯罪および人道に対する犯罪について恒久的な不処罰を是認しようと努めて、パレスチナ人および国際的な活動家の両者にすさまじい圧力をかけてきた。かれらは、ミドルセックス大学の法学教授ウィリアム・チャバスがトランプ、イスラエル首相ベンジャミン・ネタニヤフおよびトランプの助言者であるジャレッド・クシュナーに対して、彼らがパレスチナ占領地区の西岸におけるイスラエルの違法な植民・入植活動を支援した廉で告訴を提出したことに対してなされた。

 IADLは、国際刑事裁判所が民間人に対する重大な犯罪を防止し、かつ、国内法が救済を提供しない場合あるいは救済を提供できない場合に不処罰に終止符を打つために設立されたことに、われわれは注視する。何年ものの間、国際刑事裁判所の活動は集中して、相対的に弱いケースであっても、アフリカの政府高官に向けられてきた。アメリカの一方的に課された強制的措置は、このような裁判所の企図がアメリカおよびその同盟者たちをかれらの犯罪について責任を問うことができなければならないことに鑑みると、国際刑事裁判所が真に国際的な役割あるいは普遍的な役割を果たすことを妨げようとするものである。

 これはまた、国際法および国際連合憲章に違反して、アメリカ政府によって、たとえばキューバ、ベネズエラ、イラン、シリア、朝鮮人民主主義共和国およびジンバブエなどに対して、一方的な強制的措置が継続してなされているさなかに行われた。このような一方的な強制的措置は、経済的戦争の形をとり、アメリカの指示を拒絶するいかなる国に対しても体制変革を押し付けようとする試みであり、国際刑事裁判所の検察官個人を標的にすることは、まさにこのような企図を裏付けるものにほかならない。

 国際刑事裁判所の加盟67か国は、国際刑事裁判所が独立した公平な司法機関であることを支持する共同声明を発出し、国連安保理事会の10か国は、同様の声明を発出している。ローマ規程のあらゆる加盟当事国にとって、国際刑事裁判所を擁護し、アメリカ合衆国による国際的な法の支配に対するこのような脅迫に立ち向かうことが義務である。われわれはさらに、国連総会がこのようなアメリカの行動を非難するよう呼び掛ける。

国際民主法律家協会は、

1・ アメリカおよびイスラエルの士官・官僚のいかなる形態での国際的司法・正義および責任を抑えこもうとこもうとするアメリカの試みを斥け、かつ、国際刑事裁判所の検察官に対する一方的な強制的措置および国際的な責任を確保しようとする活動について、法律家、弁護士、裁判官を標的とする刑事訴追の脅迫のいずれについても、暴虐な行動であることを明記する。

2・ この声明がこれらの一方的な強制的措置を問題視し、アメリカの士官・官僚、イスラエルの士官・官僚その他の者の戦争犯罪および人道に対する犯罪を国際刑事裁判所その他の国際的な言論空間において、問題として取り上げるわれわれの努力の止めるものではないことを確認する。

3・ このような説明責任を追及するため国際刑事裁判所と直接、協力する同僚を支援する。

4・ これらの違法な一方的強制的措置を問題視する法的しくみその他を追求するため作業グループを立ち上げる。

2020年10月25日

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