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IADLアカデミー(モニク·ロラン=ヴェイユ記念国際法民衆講座)

IADLアカデミー(モニク·ロラン=ヴェイユ記念国際法民衆講座)が連続で開かれます。国際法、国際政治を学ぶ学生に最適です。第1回は11月3日です。


テーマ(予定) 2023年11月以降


I 講座

1) 国連憲章、その起源、本質的な原則と今日的な関連性。

2) 国連機関とそれぞれの役割と権限:

3)主な付属機関・専門機関

4) 人権と民族の権利

5) 地域人権システム(米州、欧州、アフリカ)

6)武力紛争の国際法(以下「国際人道法」)および難民法

7)国際犯罪、弾圧、そして不処罰との闘い

8)解放・解放闘争と国際法

9)クロージング・セッション 「国際法の危機」「世界資本主義システムの危機」(天然資源を採取する方法としての制裁措置)


IIセミナー

a) 健康への権利と清潔で健康的な環境

b) 一方的な強制的措置とその違法性

c) 正義と人々の権利に対する法の使用。

d) 核兵器・原子力発電所の廃絶(IAEA、NPT)

e) 新自由主義と企業の経済支配に対抗するための国際法の利用、債務の帳消し。優越性条項(国連憲章第103条)

f) パレスチナとサハラ砂漠

g) 米軍と朝鮮半島の統一-東アジアにおける米軍同盟と軍事基地の違法性、国連司令部の名称と国連旗(UNSC)を使用することの違法性

h) 先住民族とファースト・ネーションズの闘い-国家ベースのシステムに対する批判

i) 司法の独立と弁護士の保護(フィリピン、トルコ)

j)平和への権利


モニク・ロラン=ヴェイユ記念民衆講座開始ウェビナーの紹介(抄訳)


 おはようございます。こんにちは。こんばんは。フランス語、スペイン語、英語の通訳があります。プログラムの後の討論の際には、Q&Aボックスに質問を入力してください。

 モニク・ロラン=ヴェイユ記念国際法民衆講座の公式開会式へようこそ。私はマジョリー・コーン(Marjorie Cohn)と申しまして、国際民主法律家協会(IADL)の理事およびこの国際法民衆講座の設立責任者です。

 IADLは、反ファシスト闘争の結果誕生し、脱植民地化運動と共に育ってきました。主要な国際法文書の多くは、世界中の人々の闘争、すなわち、第一にファシズムに対する、第二に植民地主義に対する闘争の成果であります。

 これらの協定・規約・条約は、本来は、平和のうちに生存する権利を含む基本的人権を守る助けになるような進歩的な道具です。

 国際法は危機に瀕しています。進歩的な内容を持つこれらの文書の採択後も、反動的な勢力は、それらを効果的に行使可能な権利の法源として捉えるのではなく、単なる願望的な権利であって拘束力はないと主張して、無力化させようとしてきました。

 かかる反動的勢力は、それらの権利の一部を選択的に利用して、他の権利を破壊してきました。今日、右翼勢力は、国際連合や多国間主義、一部の人権を廃止したいと公然と言うようになっています。この国際法の危機は、世界規模の資本主義体制の危機と不可分に結び付いているのです。

 進歩主義者の中には、国際法を攻撃する動きから影響を受けている者もいます。例えば、パレスチナ人の権利を保護したり、国連憲章に違反する軍事侵略や一方的制裁を防止し処罰したりするような、国際法を実施するうえでの課題を非難します。そして、国際法や国連は、「刷新」されるか廃止される必要があるという誤った結論に至ります。

 学界では隅に置かれるようになった伝統的な国際法教育では、一般的に、国際法の本質を把握し、これらの文書を解放闘争の道具にすることはできません。支配的な国際法教育の在り方では、国際法を文脈化し、その歴史的側面を追究することはありません。むしろ、国際法は、静的・形式主義的な一連の諸規則として示されます。

 したがって、IADLは、国際法に反映された民衆の闘争の遺産を擁護することを通して、数世代にわたる弁護士・法律家に教育を提供することを目指しています。世界中の進歩的な法律家は、それらの法文書を理解し、人民の権利のための闘争の道具として用いることができるようにならないといけません。

 専門家として、人民が目的を達成する助けとなる法規則に明るくなければなりません。発展や経済的正義についての人民の権利を完全に擁護し、平和を促進するのを可能とするような人権文書や慣習国際法の内容を知っていなければならないのです。

 生態系と健康的な環境を保全するためには、生態系と環境法を熟知している必要があります。人間と人民の権利を促進するためには、国際労働基準や多国籍企業を責任あるものにする方策を知っていなければなりません。国際的・国内的な過ちに対する政府その他の責任能力を向上させるため、私たちは、不処罰を許さないために利用可能な国内的・国際的メカニズムを知っておかなければなりません。私たちが、国際主義的・反帝国主義的視点を持った進歩的法律家として知っておくべき法領域や課題は、数多くあります。

 人民が目標を達成するために創造的に法を利用することは、幅広い政治的文脈において効果的である一方で、争いの種にもなります。多くの場合、保守的なエリート法律家による縮小を防ぐために、新しい法的分析と戦略が必要になります。多くの国では―米国がその典型ですが―、国際法や法的枠組をより広範囲かつ戦略的に利用することは、進歩的な法曹の活動の既存の法的戦略を拡張し、新しい展望を開き、国内での法的勝利を通して、国際的な規範的連帯を促進するものです。

 モニク・ロラン=ヴェイユ記念国際法民衆講座は、IADLによるオンラインの取り組みです。これは、最も人権侵害の危機に瀕している、あるいは、既に人権侵害を受けている人々の最前線の擁護者の手に、国際法という道具を渡すことを目的としています。著名な国際法学者や進歩的な法律家の専門知識を活用し、国際法の全体像と地域的・国際的紛争への適用の姿を参加者に提示します。

 国際法の専門知識を持つ法律家は数多くいますが、平和、自由、正義、平等を求める闘いに携わる人々に直接関わる仕事をしている人は、ほとんどいません。現場で仕事をする法律活動家は、地域の問題でもあり、自身が取り組む問題に関して国際的連帯を構築する道具でもある国際法制度やその潜在的な応用に触れる機会がほとんどありません。この講座は、国際法上の道具の実用的な扱い方を教え、世界中から来る民衆のための法律家に出会う機会を提供することによって、草の根運動を強化する有効な方法となり、権利を守るためのより効果的な国際制度に貢献する手助けにもなるでしょう。

 パンデミックは、オンライン研修や議論にとって、先例のない機会をもたらしました。現代のコミュニケーション技術は、世界中の多くの人々とつながり、進歩的な考えを広めることを可能にしました。

 民衆講座は、国際法や規範、実施メカニズムを自身の仕事の中で利用しようとする弁護士や他の法律家、活動家に、2年間の集中的な学術的法学プログラムを提供します。この研修では、法学研究者と実務家の双方を含む、幅広く著名な国際法律家が登場し、進歩的運動を支えるために、これらの法的道具を利用する具体的な方法を提供します。

 この講座の独創的な点の1つは、2部構成になっていることです。国際法上の原則は、高名な専門家によって教授されます。そして、第2部では、それらの諸原則を民衆の特定の闘争に適用することについて説明が行われます。

 2年間をかけて、9のコースと10のセミナーが開講され、法律家、活動家、代理人、人権擁護者、被害者やそれ以外の人々にも開かれています。参加者は、2年間のプログラムに登録するか、個々のコースやセミナーに登録するかを選ぶことができます。

 民衆講座のプログラムは、1)民主的法律家によって重要な、主要な国際法原則や文書と、2)民衆の闘争のために、それらの原則をどのように使うか、という視点を含んでいます。

 各コースでは、1人の学者が国際法上の原則について説明した後、もう1人の学者が、テーマに関連する闘争の経験について話し、さらに討論へと続きます。各コースは、3時間のセッション2つからなっています。

 セミナーでは、国際法上の主要な現代的論点を扱います。各セミナーは、1人の講演者または3~4人の講演者のパネルによって行われ、3時間続きます。

 純粋学問的に国際法を教えることを越えて、人民の闘争を支援するために利用する生きた道具としての国際法の知識を参加者と共有します。

 私たちは、著名や学者や法律活動家を募集しています。特別報告者、高名な研究者、進歩的な弁護士が、この講座の実務的な応用の要素の教育に携わることを希望します。コースとセミナーが、グローバル・サウスの視点を適切に反映するのを確実にするために、世界中から専門家を募っています。講師陣には、世界で最もよく知られた人権NGOや他の組織で活動する法律家も、幅広く含まれています。

 参加者は、国際法を国内制度の下で活用したり、しばしば人権擁護の最終手段となる現に存在する国際的メカニズムを利用したりする方法に関して、詳細かつ実践的な情報を得られるでしょう。また、専門家の指導の下、実生活において、国際法や国際的メカニズムが有効であり得るような状況下で協働することになるかもしれません。さらに、世界中の民主的法律家の仲間と交流し互いに支え合い、周縁化されたコミュニティを国境を越えて結び付け、そこにいる人たちの人権を擁護・代弁するような、越境的な権利擁護の連合体を作るべく、前進することになるでしょう。

 民衆講座には、世界中から集まった16人の著名な専門家からなる学術委員会があります。

 私は、1年半以上をかけてカリキュラムを編成した民衆法定の実行委員会のジン・マイラー(Jeanne Mirer)、笹本潤、マリア・ラフッド(Maria LaHood)、ゲイル・デイヴィドソン(Gail Davidson)、マルティ・シュミット(Marti Schmidt)、シャルロット・ケイツ(Charlotte Kates)の各氏に感謝したいと思います。また、ビル・ボウリング(Bill Bowring)とジャン・フェルモン(Jan Fermon)も、講座の編成を支援してくださいました。

 私たちのオンライン講座は、今年(2023年)11月3日に始まります。

ウェブサイトはこちらです:peoplesacademy.net

登録:このウェビナーに登録した方全員にメールを送りますので、オンラインフォームから、1つでも複数でも、コースやセミナーに申込みができます。数カ月以内に、スケジュールと担当講師をお知らせします。

 他言語による講座の提供を計画しています。コース・セミナーを公表次第、どの言語に翻訳されるのかを皆さんにお知らせします。

僅かですが料金を徴収します。金額は変動します。

継続的法学教育(CLE)の単位を証明する文書を発行します。

皆さんが、国際法民衆講座のことを広めてくださることを期待します。


【訳注】本稿は、モニク・ロラン=ヴェイユ記念国際法民衆講座(Monique & Roland Weyl People’s Academy of International Law)の開会式ウェビナーにおける同設立責任者マジョリー・コーン(Marjorie Cohn)氏の挨拶を翻訳したものである。翻訳に際して、ウェビナー参加者向けの案内は省略しているので、「抄訳」とした。


『Interjurist』210号から(訳:佐々木 亮)






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